かりんとう的ダイヤ編成のコツ

この記事はSimutrans Advent Calendar 2024 12/15の記事です


・はじめに

ほとんどの皆様には初めましてですね。「かりんとう」と申します。普段はローカル環境でちまちまとダイヤを組んで遊んでいます。

今回アドベントカレンダーの企画にお誘いを頂きましたので、私からはOTRP環境においてダイヤ編成を行うにあたって、個人的な経験や知見をお伝えできればと考えております。

その前に、ちょーらっぴっど氏が以前お書きのこちらの記事が非常に参考になりますので、まず一読されることを強くお勧めします。(勝手におすすめしてすいません)私の記事ではちょーらっぴっど氏のダイヤ編成法と私の編成法とが異なる点や補足を中心にお伝えします。(基礎的で面倒なことは書きたくなかった、、、)

・大まかなダイヤ編成の流れ

以下、ダイヤを組むにあたっての手順について簡単にお示しします。

1.ツールを用意しよう
2.どのような運転形態にするか考えよう
3.列車の基準運転時分を計測しよう
4.ダイヤを組む
5.simutrans上に反映させる
6.眺めて楽しむ

このような感じです。長い!

順番にご説明します。

1.ツールを用意しよう

OuDiaSecondをダウンロードし、各駅のデータを入力しておいてください。
こんな感じ

この時、待避可能駅折り返し列車を設定する可能性のある駅「駅時刻形式」「発着」にしておきましょう。こうしておくと、待避列車を設定する際に到着時間、発車時間を分けて設定することが出来るため、待避を行う際に役立ちます。


2.どのような運転形態にするか考えよう

恐らくここが最大のポイントです。ここで考えるべきは以下の5つです。


1.大まかな運転系統をイメージする。(他線区直通はどうするか、優等重視か各停重視かなどなど...)
2.種別停車駅を決める。
3.各種別、運転系統の使用車両を決める。
4.各種別ごとの運転本数を決める
5.どの駅でどのような接続、待避を行うかをイメージする。(これは1と似ていますね)


だいたいこんなものだと思います。例えば関西私鉄のように、優等主体で積極的に緩急接続を取っていくような形にするのか、あるいは関東私鉄のように、各停主体で輸送力を重視するのか。などなど。ここを考えることがダイヤ好きには楽しいポイントです。

では簡単に具体例をお示ししましょう。
初めて路線図つくりました

これは私が実際にsimutrans上でダイヤ編成を行った小田急っぽい路線の路線図です。
まず、路線の区間ごとに大まかな概況を確認します。
見づらくてすいません...

おおむねこのようになっています。これは都市間輸送を狙ったほうがよさそうですね。また、湯川駅で国鉄線との乗り換えができるため、重要視すべき旅客需要は湯川駅⇔各地、ということになりそうです。(中間駅を目的とする需要が大きいのは名鉄名古屋駅と似ていますね)
このような情報を基に、停車駅や種別ごとの運転区間、運転本数、停車駅を決めます。

実際に私がダイヤを組む前に決めた事柄は以下の6つです。(ゲームBPM24で8640tick、ゲーム内1カ月がOudia上で24時間になるという設定で制作しています。こうすると現実の1時間当たりの運転本数とかなり近い感覚でダイヤを組めます)

1.種別は「各駅停車」「準急」「急行」「快速急行」「有料特急」とする
2.「各駅停車」の運転区間は雀田~熱川の間とし、その他区間はいずれかの優等列車が各駅に停まる(いわゆる遠近分離ですね)
3.「各駅停車」「準急」「急行」の運転本数ははそれぞれ4本/h「快速急行」「有料特急」はそれぞれ2本/hとする
4.「快速急行」は特に都市間輸送の需要が多い、湯川~川西間の運転とし、「有料特急」並行ダイヤとする快速急行と特急で15分毎になるように調整します)
5.「各駅停車」「急行」「快速急行」10連で運行する。「準急」については西川本~雀田間の準急停車駅のホーム有効長が6両のため、留寿都港~雀田は6連で運行する。雀田~湯川間は4両を増結し10連で運行する。
6.「各駅停車」「急行」湯川駅で緩急接続を行う

以上です。多いですね...
しかし、ここまで決めないと逆に組みにくいと思います。

3.列車の基準運転時分を計測しよう

あとはただの作業です。まずは、各種別の基準運転時分を計測しましょう。といっても、左下のtickなり時間なりを見ながら人力で計測するのはめんどくさい不正確かもしれないので、Excelに丸投げです。(個人的に基準運転時分を計測する作業が一番つまらないので嫌いです)

まず、各種別ごとに、テキトーに列車を流します。この時、応荷重制御の設定はONにしてください。待避可能駅などを通過する種別では待避可能駅付近に中間点を設定しておき、駅通過時刻も計測しておきます。(こうしないと通過待避を設定できなくなります)

これでしばらくほったらかします。こうしておくと、OTRP君は所要時間を自動計測して、csv形式で出力してくれます。この機能をありがたく利用しましょう。ちなみに、基準運転時分を計測する&ダイヤの試運転などを行うデータを別に用意しておくと便利です。

csv形式でコピーを押して

Excelに貼り付ける

simutrans上で計測されたtickを時間、分、秒の形式に変換して、足し算してもらっています。私の環境では1tick10秒換算なので、自動変換してもらうようにファイルを作りました。

中学生の頃によくわからぬまま手探りで作ったExcelファイルを未だに使い続けているだけなので、とてもじゃないが配布は出来ませんが、しかし時刻形式にして足し算してもらっているだけなので皆さんも簡単に作れると思います。

この運転時分をOudiasecondに入力して基準運転時分とするわけです。

あとは、この作業を各種別毎にやれば

基準運転時分だけダイヤページを別に分けておくと見やすい





こんな感じになります。

4.ダイヤを組む

お待たせしました。ここまで来てやっとダイヤの構築に移れます。(長い!)
この作業におけるポイントは以下の3つです。

1.パターンダイヤの繰り返ししか組めないという点に留意すること(1カ月ダイヤは見なかったことに...)
2.路線の核となる列車から組むこと(後述)
3.被待避列車は待避時間に余裕を持たせること(追い抜く優等が遅れたりすると大変なので)

2.について。全く真っ白なダイヤグラムでは、どこから手を付けたらいいのか分からない...となる場合があると思います。このような時は、まず路線の核となる列車のスジを引いてしまってから、それに合わせる形で他列車のスジを引いていくと良いと思います。条件の厳しい列車、と言い換えることも出来そうです。

一般によく言われるのは、優等から先に組め、ですね。極力減速させず、他列車の妨害を受けずにバンバン飛ばして頂きたいですから、最優等から順にスジを引いていくというのは理にかなっています。

しかし、例えば他路線や地下鉄に直通するというような、制約の大きい場合や広範に影響が及ぶ場合はまた別です。本線のみを走る優等列車より先に直通列車のスジを引いてしまったほうが、直通各線全体のダイヤの柱を打ち立てることが出来ます。あとは直通列車に合わせて他列車のスジを引いていく、という形で作業を行えば、ダイヤの編成がしやすいのではないかと思っています。

また待避設備が少ない路線で高頻度運転を行う場合、優等から順にスジを引くと各駅停車を押し込むだけの隙間が残らない場合があります。この際も、最優等のスジを引いた後に各駅停車のスジを引き、その後で準優等のスジを引くとうまくダイヤを編成できたりします。

では、先ほどからの小田急っぽい路線を使って実際のところを見てみましょう。

まず、有料の特急なんてのは最重要ですので真っ先にスジを引きます。
先ほど作成した基準運転時分をコピーしてくるだけです。
とりあえず1時間分のサイクルを作って、あとでコピペします

つぎに、特急と並行ダイヤで走る快速急行のスジを引きます。
湯川駅と川西駅の間の待避可能駅は柏原駅です。この駅で各駅停車特急快速急行を通過待避する可能性があるので、柏原駅基準でぴったり15分間隔になるよう快速急行の時刻を調整します。こうすると見栄えも綺麗です。

つぎは、急行です。特急急行にそこまでの所要時間差がなかったので、とりあえず始発駅時点での特急との運転間隔は15分サイクルの半分である7分30秒にしました。こうすると特急急行が等間隔発車になって綺麗です。

つぎに、準急、、ではなく各駅停車のスジを引きます。先述のとおり、各駅停車急行の接続を湯川駅で行うようにしたいと決めているので、急行のスジが決まった時点で各駅停車のスジを引いてしまったほうがよい、と考えました。しかも準急各駅停車の運行区間が被るのは雀田駅~湯川駅の間だけで、この間待避可能駅もないので各駅停車のスジを先に引いてしまっても準急の設定に支障しない、という判断です。

こんな感じになりました。黒の線が各駅停車です。急行を湯川駅で待避できるような時刻で設定したところ、その先の待避可能駅である柏原駅のほんの少し手前で特急快速急行コンビに追い付かれてしまいました。そのため、急行の始発駅発車時刻を30秒前倒して、湯川駅で急行を待つ各駅停車の発車時刻も30秒前倒しさせました。こうすることで、柏原駅での特急快速急行コンビの滑らかな通過待避を実現させています。

最後に準急のスジを引きます。準急には特に待避や接続等の制約を課していませんが、雀田駅で4両増結しなければならないので、その分の時間を確保する必要があります。他列車の邪魔をしないようにしつつスジを引きます。

こうなりました。どうせ雀田駅で停車時間を確保しなければならないので、その間に特急に追い抜いてもらうことにしました。雀田駅で特急の待避を受けられるようなタイミングで準急を雀田駅に到着させようと思うと、その手前の坂町駅で急行と緩急接続を取らせるのが一番ちょうどいい、ということになりました。

これで片方向分は終了です。あとは1時間分だけ作ったこのダイヤを24時間分マルっとコピーしましょう。

同様の作業を逆方向でも行えば
こんな感じで完成します。

5.simutrans上に反映させる

あとはちまちまsimutrans上で設定を反映させるだけです。この作業も面倒ですが、こればっかりはしょうがないのでまあ頑張ってください。

6.眺めて楽しむ

設定が終わったらのんびり眺めて楽しみましょう。この為にダイヤを組んでいるようなものです。(時間泥棒なので注意!)

・最後に

以上、個人的なダイヤ編成法をお伝えしました。今までこのようなブログなんて書いたこともありませんでしたので、文章は稚拙でかつ読みにくく見づらかったこととは存じますが、ここまでお読みいただきありがとうございました。皆様の一助となれば幸いです。

最後に、このような企画を立ち上げ、お誘い頂いたhimeshi氏にまず御礼申し上げると共に、simutrans界隈を盛り上げていただいているすべての皆様に感謝申し上げます。

ここからは裏話なのですが、実のところ、初めはアドオンポータルの方に投稿するつもりで動いておりました。そのためのご協力も頂いていたのですが、あまりポータルを上手く使いこなせず、結局新規にブログを開設することに相成りました。ご協力いただいた方には、この場を借りて感謝とお詫びを申し上げます。まぁ経緯はどうあれブログの開設となった以上は、今後も主に交通関係の話題を中心にぽつぽつと投稿していこうと考えております。もしご興味がお有りの方がいらっしゃれば今後とも温かく見守っていただけますと幸いです。

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